令和6年度 群馬県当初予算編成にあたり、令和5年9月12日(火)に令和6年度 群馬県当初予算に対する政調懇談会が開催され、当会から熊川会長をはじめ各地域の土地改良事業推進協議会関係者、当会役職員が出席し、農業農村整備事業の推進への理解とより一層の支援を要望しました。

 また政調懇談会終了後、群馬県  砂盃農政部長、群馬県 眞庭県土整備部長に対して要望事項を説明し、両部長に要望書を手渡ししました。

 以下、要望書全文

 

要望書(農政部)

要 旨

 農業農村整備事業の推進につきましては、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 地球規模の異常気象に伴う大規模災害の頻発化、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、さらにはロシアのウクライナ侵略により、食料安全保障を巡る負の影響が国際社会に生じています。
 このような顕在化するリスクに対し、特に重要な食料安全保障確立の観点から、食料生産を支えている農業生産基盤を維持し、県民の不安を解消しなければなりません。その一方で農業・農村では、農業従事者の高齢化や減少により、農地や農業用水等の管理に支障が生じることで営農の継続が困難になるなど、様々な課題に直面しております。
 このような情勢のもと、農業を魅力ある産業として担い手に引き継いでいくことが極めて重要な課題となっていることから、農地の大区画化・汎用化、適時適切な農業水利施設等の維持、更新が不可欠となります。
 また全国各地でため池を含む農業水利施設等の老朽化が進行する中、近年、気候変動による豪雨災害や大規模地震が頻発しており、県民の生命と財産を守るためにも、洪水被害防止対策やため池等の耐震化などの農村地域の防災・減災対策の推進を通じた国土の強靱化を着実に進める必要があります。国では、令和3年3月に閣議決定された新たな「土地改良長期計画」及び令和3年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」の実現に向け推進しています。
 近年の土地改良制度については、平成29年、30年に土地改良法が改正され、農地中間管理機構と連携した農業者の費用負担を求めない農地整備事業や、ため池等の耐震化を迅速に進める事業等が創設され、本年にはこれらの事業の拡充、当連合会の新たな業務や土地改良区の組織変更制度を追加する土地改良法の見直しが講じられました。
 また令和元年に「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が2年に「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」が施行され、ため池工事等を推進する措置が講じられ、本県でも令和4年4月27日に「ため池サポートセンターぐんま」を開設し業務に取り組んでいるところです。
 県では、農政の基本指針である新たな「群馬県農業農村振興計画」を令和3年3月に策定し、その期間に合わせるべく、「群馬県農業農村整備計画2020」を令和3年10月に一部見直しを行い、「豊かで成長し続ける安全安心な農業・農村づくり」の実現に向け、「持続可能な開発目標(SDGS)」の理念を踏まえ、さまざまな施策が着実に展開されているところです。
 私共、群馬県土地改良事業団体連合会と県内土地改良事業推進協議会では、県の執行方針に基づき、農業農村整備事業の一層の推進を図って参りたいと考えております。
 つきましては、令和6年度の当初予算編成にあたり、次の事項について特段のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

 記

○ 農業農村整備事業等について
1 農業生産力強化に向けた農業基盤整備の推進について
 担い手への農地集積を図る農地整備と耐用年数を超える農業水利施設の保全整備、防災減災事業等の積極的推進を図るため、新規地区の採択と予算の確保
(1) 農業競争力強化基盤整備事業による各種農業基盤整備
   15地区(継続15地区)
  ○農地中間管理機構関連
   1地区(継続1)
  ○農地整備事業 4地区(継続4)
  ○水利施設等保全高度化 10地区 (継続10)
(2)農山漁村地域整備交付金による各種農業基盤整備
   12地区(継続10地区 新規2地区)
  ○農地整備事業 4地区(継続4)
  ○水利施設整備事業 7地区(継続5、新規2)
  ○農村集落基盤再編・整備事業 1地区(新規1)
(3)農村地域防災減災事業による各種農業基盤整備
   11地区(継続8地区 新規3地区)
(4)農地耕作条件改善事業による各種農業基盤整備
   6地区(継続2地区 新規4地区)
(5)農業水路等長寿命化・防災減災事業による各種農業基盤整備
   20地区(継続13地区 新規7地区)

2 農業水利施設の保全と管理に対する支援について
 農業従事者の減少や高齢化等により、適切な維持管理をすることが困難になってきている農業水利施設の適切な施設運用、管理手法の確実な継承など、土地改良区における管理の効率化と体制強化を図るため、下記事業の強力な推進と予算の確保
(1)施設の管理系事業
  ○基幹水利施設管理事業 5地区(継続5)
  ○水利施設管理強化事業 8地区(継続8)
  ○土地改良施設維持管理適正化事業 16地区

3 ため池の防災、減災対策の推進について
 地震や豪雨等の自然災害時に、下流域の人命や社会基盤・農業基盤への被害が甚大となるため池の防災、減災対策の強力な推進と予算の確保
(1)農地防災減災事業
   10地区(継続1地区 新規9地区)
(2)農業水路等長寿命化・防災減災事業
   3地区(新規3地区)

4 日本型直接支払交付金の活動推進について
 過疎化・高齢化等の進行に伴う集落機能の低下により、適切な保全管理が困難となってきたため、農地・農業用水等の資源を地域ぐるみで保全管理を行う取り組みの推進と予算の確保
(1)多面的機能支払 農地維持 290組織
(2)多面的機能支払 資源向上 229組織
(3)中山間地域等直接支払 178集落

5 再生可能エネルギーの推進について
 農村地域に豊富に存在する水・土地などの資源を再生可能エネルギーの生産に活用し、その利益を地域に還元するため、土地改良区等が農業水利施設の適正な維持管理を確保するために取り組む、小水力発電・太陽光発電の積極的推進と予算の確保
(1)事業啓発推進への支援

6 県単公共事業の推進について
 県単公共事業は、国庫補助事業の実施要件に満たない小規模な農村整備を対象として、県費補助で対応できる有効な事業であり、農村地域からの要望が高い事業である。このため、県単公共事業の当初予算の確保
(1)小規模農村整備事業
  ・地域の要望に基づく当初予算の確保
(2)防災重点農業用ため池等緊急整備事業
   3地区(継続2地区、新規1地区)

7 国土調査の推進について
 令和4年度末における本県の地籍調査の進捗率は、35.9%と遅れているため、休止・未着手市町村の事業化の推進と継続地区の予算の確保
   20市町村

8 農地中間管理事業への参画について
 県農地中間管理機構が行う農地中間管理事業について、積極的に連携・支援して参りたい。そのため、当連合会が整備・運用している農地地図情報システム(水土里情報)の活用並びに基盤整備、担い手への農地集積に関する土地改良区及び当連合会の機能・技術・情報を活用していただきたい。

 

要望書(県土整備部)

要 旨

 農業集落排水事業の推進につきましては、平素から格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。本県は、首都圏の水源県として多大の役割を担っています。農業集落排水事業は、農村地域から排出されるし尿や生活雑排水を処理し、健全な水環境を維持するとともに、処理された水や汚泥を農業生産に再利用するなど、循環型社会の構築に大いに寄与しています。
 県では、平成29年度の群馬県汚水処理計画の計画変更から5年が経過するにあたり、人口減少等の社会情勢の変化を踏まえ、より最適な配置計画とするとともに、新たに汚水処理施設の広域化・共同化計画」を当計画の一部として位置付けるため、計画の見直しを行ったと聞いております。
 現在、供用されている農業集落排水施設は113地区となり、設置後20年以上を経過している施設が6割を超え老朽化が進行しています。このため、適時・適切な更新整備を推進するため、「施設監視」や「整備構想」の見直し及び再編計画の策定が、今後益々重要なものとなります。また、農業集落排水施設では維持管理費の8割を占める電気料金及び汚泥処理費等の軽減も求められています。
 このため、各市町村おいては財政状況が逼迫する中、農業集落排水施設をストックマネジメント手法に基づき、「機能診断」の実施や「最適化構想」の策定を行うなど、計画的な「改築・更新整備」に取り組んでいるところです。また、効率的な施設の運用管理のため、地域特性に応じた汚水処理施設の集約化に向けた再編計画の策定を推進しているところです。
 私共、群馬県土地改良事業団体連合会と県内土地改良事業推進協議会では、公共用水域の水質を保全し、住民の生活環境を守るため、農業集落排水施設の持続的な機能発揮等に向けて、微力ですが県政の発展に寄与して参りたいと考えています。
 つきましては、令和6年度の当初予算編成にあたり、次の事項について特段のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

1 改築・更新事業の計画的・継続的な実施について
 既存の農業集落排水施設の改築・更新を計画的に実施するための事業推進
(1)農山漁村地域整備交付金による事業
  ○農業集落排水事業(改築・機能強化)
   1地区(継続1地区)
  ・継続 前橋東部地区(前橋市)
(2)農村整備事業
  ○農業集落排水施設(高度化型)
   1地区(新規1地区)
  ・新規 東吾妻(東吾妻町)

2 既存施設の更新計画策定等について
 既存の農業集落排水施設の改築・更新に係る調査設計、計画策定、並びに機能診断と最適整備構想策定に係る新規地区の採択
(1)農山漁村地域整備交付金
  ○農業集落排水事業(調査計画)
   1地区(新規1地区)
  ・楽間行力地区(高崎市)
(2)農村整備事業
  ○農業集落排水事業(計画策定等事業)
   8地区(新規8地区)
  ・新屋地区(前橋市)
  ・荒砥北部地区(前橋市)
  ・あずま向原地区(伊勢崎市)
  ・あずま国定地区(伊勢崎市)
  ・赤堀間野谷地区(伊勢崎市)
  ・干俣地区(嬬恋村)
  ・田代地区(嬬恋村)
  ・毛里田北地区(太田市)

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